近年、グローバル化が進むビジネス環境において、国際的な会計資格の価値が高まっています。
特に、USCPA(米国公認会計士)とUSCMA(米国公認管理会計士)は、日本でも注目を集める二つの代表的な資格です。
どちらの資格を取得すべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、USCPAとUSCMAのそれぞれの特徴、試験内容、キャリアパスなどを比較し、あなたの目標やキャリアプランに合った資格選びをサポートします。
USCPA(米国公認会計士)とは?
USCPAは、財務会計、監査、税務の専門家であることを証明する国際的な会計資格です。
監査法人、会計事務所、外資系企業などで高い評価を得ています。
USCPAのメリット
- 高い認知度と信頼性:
世界的に認知度が高く、会計分野における プロフェッショナルとしての信頼性が向上します。 - 幅広いキャリアパス:
監査、税務、財務会計、コンサルティングなど、多岐にわたる分野で活躍できます。 - 年収アップの可能性:
専門性の高い資格であるため、キャリアアップや転職において有利に働き、年収アップにつながる可能性があります。
USCPAの試験概要
- 試験科目: 必須科目は、FAR(財務会計)・AUD(監査及び証明業務)・REG(税法及び商法)の3科目
残りの1科目は、BAR(ビジネス分析及び報告)・ISC(情報システム及び統制)・TCP(税法遵守及び税務計画)の中から1つ選択 - 受験資格: 米国の州によって異なりますが、一般的に4年制大学卒業の学位と会計・ビジネスに関する一定の単位が必要です。
- 試験方式: コンピューター試験、四肢択一式と記述式問題
- 試験時間: 各科目4時間
USCMA(米国公認管理会計士)とは?
USCMAは、企業の経営戦略や意思決定に貢献する管理会計の専門家であることを証明する資格です。
原価計算、予算管理、財務分析、リスク管理など、幅広い知識とスキルが求められます。
USCMAのメリット
- ビジネスに直結した知識:
企業の内部管理に特化した知識を習得できるため、コンサルティング業界や一般企業の経営企画・管理部門などで活躍できます。 - 比較的短い学習期間:
USCPAに比べて試験範囲が狭く、2科目合格で取得できるため、比較的短期間での資格取得が可能です。 - キャリアの多様性:
グローバルに認知されており、海外でのキャリア機会も広がります。
USCMAの試験概要
- 試験科目: Part 1 (Financial Planning, Performance, and Analytics)、Part 2 (Strategic Financial Management)
- 受験資格: 受験時に学歴要件は問われませんが、資格登録時に4年制大学卒業の学位が必要です。
- 試験方式: コンピューター試験、四肢択一式と記述式問題
- 試験時間: 各パート4時間

USCPAとUSCMAの違い:比較表
項目 | USCPA(米国公認会計士) | USCMA(米国公認管理会計士) |
---|---|---|
資格の性格 | 財務会計、監査、税務 | 管理会計、経営戦略、意思決定 |
試験科目数 | 4科目(必須3科目+選択1科目) 必須科目:FAR・AUD・REG 選択科目:BAR・ISC・TCPの中から1つを選択 | 2科目 Part 1:Financial Planning, Performance, and Analytics Part 2:Strategic Financial Management |
学習期間の目安 | 約12〜24か月 | 約6〜12か月 |
難易度(合格率) | 約40%~約70% 科目によってバラツキがある | 約50% |
日本語受験 | 不可 | 選択可能(2025年6月より) |
受験資格 | 米国の州による(一般的に学位と会計・ビジネス単位が必要) | 受験時不問、資格登録時に4年制大学卒業の学位が必要 |
キャリアパス | 監査法人、会計事務所、外資系企業、コンサルティングなど | 一般企業の経営企画・管理部門、コンサルティングなど |
認知度 | 監査・税務分野での国際資格として強い | 管理職・CFO候補向けに注目されている |
業務での役割 | 財務諸表の監査、税務申告、会計コンサルティングなど | 予算管理、原価計算、財務分析、経営戦略の立案・実行支援など |
主な比較
👉試験科目数の関係もあり、短期で資格取得を目指すならUSCMAが有利。
👉 USCMAは2025年6月から日本語での受験が可能となった(これまでどおり英語での受験も選択可能)
👉 USCMAは受験資格に学歴等の要件は問われない(ただし、登録時(合格後7年以内)に学歴等の証明書の提出が必要)
👉 監査法人、会計事務所に就職したい場合は、USCPAが圧倒的有利
👉USCPAはUSCMAに比べると日本国内での知名度は高い
どちらを選ぶべきか?
USCPAとUSCMAは、それぞれ異なる強みを持つ資格です。
どちらを選ぶべきかは、あなたのキャリア目標や興味によって異なります。
USCPAが向いている人
- 監査法人や会計事務所で働きたい
- 税務や監査などの専門業務に関わりたい
- 海外勤務や国際業務に興味がある
- 米国会計基準(GAAP)に関する専門知識を深めたい
USCPAは、会計・監査・税務のスペシャリストとしてのキャリアを築きたい方におすすめです。
また、監査法人、会計事務所での就職・転職を目指すならUSCPAを選択すべきでしょう。
USCMAが向いている人
- 企業の中でキャリアを築きたい(経理・財務・経営企画)
- 将来的にCFOや管理職を目指したい
- 管理会計や財務分析に興味がある
- 比較的短期間で資格を取得したい
USCMAは、企業内での意思決定に貢献するプロフェッショナルとして、将来的にマネジメント層やCFOを目指す人に非常に適しています。
このようにそれぞれの資格の強みを紹介しましたが、ただ、この二つの国際的な会計資格の間には、決定的な差があります。
それは、なんといっても現状、日本国内においては、USCPAの方が圧倒的にネームバリューがあるということです。
USCMAの日本国内での知名度は残念ながら低く、転職市場でも応募条件や歓迎するスキルに掲げている企業はあまり見たことがありません。
また、日本の大手予備校3校でUSCPAの講座が開設しているのに対し、USCMAは1校だけです。
なので、日本ではUSCPAを選択する人の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
しかし、近年、USCMAも注目度が上がりつつあります。
それは、日本においても、管理会計、特にFP&A組織に注目度が高くなってきているからです。
これは、日本企業のグローバル化に伴い、経営課題がますます複雑化する中で会計・財務などの知識をバックグラウンドに、企業の課題解決に役立ち、競争力や収益性向上の源泉として機能する人材、組織が求められており、USCMAの学習で、これらの知識が身に着くからです。
そんな折に、日本語で受験可能になるとの発表がありました。
これまで日本では、体系的に管理会計を学べる資格制度が十分に整備されていませんでした。しかし、USCMAが日本語で受験可能になったことで、戦略的な経営意思決定に必要なスキルを体系的に習得できるようになりました。

まとめ
USCPAとUSCMAは、それぞれ特色のある魅力的であり、どちらも国際的に評価される一流の資格です。
ただし、これまで説明してきたように役割や活躍のフィールドが異なるため、自分の将来像に合った資格を選ぶことが大切です。
最終的な決断をする前に、以下の点を考慮してみましょう。
- あなたの現在の職務内容と将来のキャリア目標
- 学習に投資できる時間と費用
- 資格取得後のキャリアパス
この記事が、あなたの資格選びの一助となれば幸いです。