USCMA試験の難易度は?

何かの資格を取得しようと考えたとき、その資格の難易度が一番気になるところですよね。

USCMA試験の合格率は、IMAのサイトをみると、全世界平均でPart1、Part2ともに50%と公開されています。

50%とということは、受験した人の半分は合格できる試験なので、一見、難易度が低いように思われます。

ちなみに、日本の会計資格である日商簿記検定の合格率を見てみると、3級の合格率が40から50%程度と言われています。

なので、単純に合格率だけを見ると、容易に合格できる資格のように思われますが、果たして本当にそうでしょうか?!

この記事では、私が実際にUSCMAを受験して感じた試験の難易度について、さまざまな角度から検証していきます。

これからUSCMAを受験しようと考えている人の参考になればと思います。

目次

USCMA試験の概要

受験資格(教育要件)

4年制大学卒業(学士号)の学位が必要です。学部は特に問われません。

ただ、上記の要件は、受験時には問われず、合格後、7年以内に証明書を提出すればよいことになっています。

USCMA試験内容・時間

USCMA試験は、以下のとおり全2科目で構成され、科目合格制です。

各科目ごと、0から500ポイントで評価され、360ポイント以上取得すると合格です。

試験科目試験時間内容
Part1Financial Planning, Performance, and Analytics
(財務計画、業績管理および分析)
4時間選択問題100問:3時間
記述問題2問:1時間
Part2Strategic Financial Management
(戦略的財務管理)
USCMA試験内容・時間

試験は、Part1およびPart2の両方を合格する必要がありますが、どちらから先に受けても構いません。

試験時間は全体で4時間ですが、選択問題は3時間以内に解答する必要があります。

選択問題を3時間以内に解答し終わった場合は、自分の意思で、記述問題の解答に進むことができ、残った時間は記述問題の解答時間に繰り越すことができます。

ただし、一度、記述問題に進んでしまうと選択問題に戻ることができません。

記述問題に進めるのは、選択問題で50%以上の正答が必要

記述問題は、典型的なビジネス上のシチュエーションを描写した2つのシナリオに基づいて、約10から12問の記述式の回答または計算問題が出題されます。

出題範囲

出題範囲は以下の通りで、パーセンテージは各トピックごとの出題される割合を示しています。

Part1:Financial Planning, Performance, and Analytics(財務計画、業績管理および分析)

External Financial Reporting Decisions財務諸表報告の意思決定15%
Planning, Budgeting, and Forecasting計画、予算および予測20%
Performance Management業績管理20%
Cost Management原価管理15%
Internal Controls内部統制15%
Technology and Analyticsテクノロジーと分析15%
Part1出題範囲

Part2:Strategic Financial Management(戦略的財務管理)

Financial Statement Analysis財務諸表分析20%
Corporate Finance企業財務20%
Decision Analysis意思決定分析25%
Risk Managementリスク管理10%
Investment Decisions投資意思決定10%
Professional Ethics倫理15%
Part2出題範囲

USCMA受験可能期間

USCMAの試験は、試験会場でコンピューター試験、つまり、PCの画面上で受験します。

試験会場は、世界中のプロメトリックテストセンターで受験可能ですが、日本では以下の2か所で受験できます。

  • 東京/御茶ノ水ソラシティ会場
  • 大阪/中津会場

受験の日程は、プロメトリックテストセンターのHPにアクセスし予約します。

ただし、受験可能期間(テストウインドウ)が設定されていますので、その期間に受験することになります。
(※受験時にはパスポートが必要です。)

また、試験の結果は、受験した月の末日から6週間後に通知されます。

受験可能期間(exam testing month)試験結果(score release)
1月3月
2月4月
5月7月
6月8月
9月11月
10月12月
受験可能期間と試験結果

USCMA試験の難易度

USCMAの合格率

USCMAの合格率は、IMAによると全世界平均で以下の通りです。

  • Part1:50%
  • Part2:50%

この合格率をみると、容易に合格できるような印象を受けますが、果たしてそうでしょうか?

まず、考慮すべき事実としてこの合格率は世界の平均で、IMAは地域によって合格率に違いがあると言っています。

すなわち、試験は英語での出題となりますので、英語が母国語ではない国の合格率はもっと低いと想定されます。

また、受験時には求められておりませんが、合格後USCMA登録時には、4年制大学卒業の学位が必要ですので、必然的に4年制大学を卒業できる学力を持った人が、USCMAを受験することになります。

したがって、受験資格がない試験を含めて、単純に合格率を比較することだけで難易度は計れません。

しかも、前述したように試験問題は英語で出題されるので、日本人の合格率はもっと低い思われます。

ただ、個人的には、この合格率の高さもUSCMA資格の魅力の一つだと思います。

それは、基本的に資格試験は合格したからと言って、すぐに実務に活かせることは難しく、合格してからが勝負だと思うからです。

合格後、それをきっかけとしてさらに実務に対応できる知識を深め、企業価値向上に資するのがCMAの使命なので、いつまでも受験の勉強だけするのではなく、とっとと実務に貢献してくださいというIMAのメッセージだと感じます。

USCMA試験の採点方法

私は、USCMA試験の採点方法は非常にフェアであるため、勉強に集中しやすい試験だと感じました。

それは、次の点からです。

  • USCMAの合格ラインは各科目360ポイント以上で、そのポイントはScaled Scoresで評価されたもの

500ポイント中、360ポイント以上なのでおおむね72%の正答数で合格ということですが、単純に生の得点、つまり正答数で評価するのではなく、Scaled Scoresで変換しポイントで評価されます。

Scaled Scoresとは、開催回によって難度が異なることを考慮し、合格者のレベルが均一となるよう設計された評価方法です。

要は、合格するにはライバルよりも高い得点が必要となる相対評価ではなく、合格のレベルに達している人は、全員が合格とされる試験です。

したがって、受験するタイミングによって、合格率が大きく変わるような試験ではなく、合格レベルまで勉強し試験に臨めば、合格できるという安心感のもと試験勉強に集中できるので、非常にフェアな試験なのです。

しかも、このような評価方法だということを理解しておくことは、本番の試験時にも極めて重要です。

それは、本番の試験問題には受験者のレベルを図るため、採点対象とされない難しい問題やこれまでの傾向と違った問題が出題されるので、そんな問題に試験会場で出くわしたときにパニックにならず、余裕をもって捨てることができるからです。

基礎的な問題を確実に回答し、難解な問題は捨てることが合格のポイントです。

他の資格試験との比較

USCMAUSCPA
試験科目数2科目4科目
受験資格4年制大学卒業 (学部問わず)4年制大学卒業+特定科目の単位取得者
合格率約50%約50%~65%(科目によって相違)
合格ライン500点満点で、360点以上で合格99点満点で、75点以上で合格
試験料金460ドル/科目(2023年3月現在)※1
254.80ドル/科目(2023年7月更新)※2
有効期限2科目を申込登録から3年以内に合格する必要がある4科目を18か月以内に受験し全科目合格する必要がある
試験概要比較

※1 試験料金の他にMembership Fee275ドル(1年間有効)、Entrance Fee280ドル(3年間有効)が必要
※2 日本で受験する場合は、別途日本受験追加料金390ドルが必要

まとめ

USCMAの合格率は、全世界平均50%です。日本の税理士や公認会計士試験の合格率よりも高い水準です。ただし、問題はすべて英語で出題され、Esseyは英語で回答しなければならないため、英語力が必要なので、決して難易度が低い試験ではありません。

しかし、試験問題は基礎的な問題を回答する力さえあれば、必ず合格できる試験です。

そして、試験内容も企業価値を向上させる会計の専門家として活躍するために必要な知識を問われているため、合格を目指すことでその知識を体系的に身に着けることができます。

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